忍者ブログ

NUMERO DEUX / 石川伸一 札幌の文化や芸術

男の戦いは舞台の上で〜弦巻楽団


週末は琴似へ〜コンカリーニョに行くということは、JR琴似駅のあたりに行くということになる。駅そばの「イトーヨーカドー」は「ロピア」になっていた


開演を待つ時に、誰もいない舞台を眺めるのが好きだ。本劇団の舞台美術はいつも楽しみのひとつ。今回は「森」をイメージしたセットが組まれており、シンプルでありながら、幾何学的にも感じる雰囲気|森のシルエットが照明で床に映り込んでいるのだけど、その「影」が本当の「森」のようで「つくりもの」と「現実」の境界というもの考えさせてしまい、頭の中でグルグルまわる

本舞台は、小説家野沢尚の長編小説が原作。あらすじはこうだ。意に反して泥臭い「現場」から、華やかなTVキャスターとなり今ではベテランの長坂。恋人の女子高生を「援助交際の元締め」と報道した長坂を糾弾する青年、八尋。長坂は謹慎処分。八尋はスターとなる。しかし、八尋という青年は事実を言っているだろうか? 孤立無援状態の長坂は、職場の女性ディレクターの手を借りて反撃に動き出す…

こうエッセンスを書いてみても、まず本作はベースとして、非常に良質のエンタメとしての魅力があり、端的にいえば、2人の男の戦い。マスメディアという素材を扱いながら、主役の男たちは非常に肉体的であり、フィジカル全開。つまり、それだけ舞台化するのにふさわしい作品でないだろうか|原作の長編小説という膨大な情報をそのエッセンスを十分に抽出して、実に巧みに初舞台化した演出の弦巻啓太の手腕が光る。

本作はあまり演劇を観ない方にも、おもしろい!と思わせる魅力もあり「デジタル時代演劇とは?」という問いかけ、と回答だと思わせるのは昨年の同劇団の『ファーンズワース・インヴェンション』を観た時と同じ感想のひとつである。2人の男のエッジの効いた戦い、ぜひ週末いってほしい。演劇はまちをつくる。

弦巻楽団#42
舞台『砦なき者』                                  2025年11月13日(木)〜16日(日) 11月14日(金) 14:00/19:00 11月15日(土) 14:00/19:00 11月16日(日) 14:00 ※全6ステージ。 ※開場時間は各開演時間の30分前|上演時間約120分を予定|会場:生活支援型文化施設コンカリーニョ (西区八軒1条西1)

https://note.com/tsurumakigakudan/n/nf25be773243b 

PR