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NUMERO DEUX / 石川伸一 札幌の文化や芸術

ロードムービーのように

ドライブの行き先に、美術館があるという幸せ。
札幌からおよそ三時間、鹿追町――。
空は大きく、光は澄み、風がこころをひらいてくれる。その豊かな自然のただ中に、神田日勝記念美術館は静かに佇んでいる|隣接する道の駅の駐車場は広く、新鮮な野菜や特産品、ソフトクリームやコーヒーが旅のひとときを彩る。そして、そのすぐそばに、美術館の扉が待っている|建築は広田直行氏によるもの非対称のフォルムが印象的でありながら、鹿追の風景にやさしく溶け込み、違和感を感じさせない|内部に入れば、明るいロビーとわかりやすい導線。コンパクトながら、展示室への道に傾斜が設けられ、視界を隠しながら進むその仕掛けは、次の一歩への期待をふくらませてくれる|展示室は想像を超えていた。高い天井、どこかロマネスク建築を思わせる意匠|空間もまた非対称で、片側はホワイトキューブ、もう片側には大きな階段があり、上階へと導いてゆく。教会を思わせるような厳かさが漂い、その雰囲気は神田日勝の作品をより深く響かせていた|札幌からの旅路に、帯広の観光も添えて|その目的地に、この美術館を加えてほしい。――訪れる価値のある、ひとつの聖域として。
https://kandanissho.com/ 

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