忍者ブログ

NUMERO DEUX / 石川伸一 札幌の文化や芸術

濃い静粛 仲村 うてな

濃い静粛〜私の住む町には、古い商店街が残っている。そこには歴史的建造物のような華やかさではなく、暮らしの匂いをまとった、じっとりとした古さがある
|アナログな設備や、古い中のななにかの痕跡。散歩をするたびに、目も心も自然とそれを拾いあげる。きっと私は、そんな風景が好きなのだろう。しみのように点在する古さは、いまの時代にかろうじて寄り添いながら佇んでいる。そこには、歴史を抱え込んだ静けさがある。その静けさに、不意に心が動くこともある
|静かさや最小限の表現は、必ずしも弱々しいものではなく、賑やかさと同じだけの力を宿している。だからこそ「静粛」は、強く、そして魅力的なのだと思う|仲村うてなの作品に触れると、その「生きている静けさ」が胸に流れ込んでくる。彼女の風景を切り取ったカットアップは、澄んだ美しさを帯びている。けれどそれは、冷ややかなミニマリズムではない。最後には、彼女はやさしい人間味への視線にたどり着くー私はそう思うのだ。
仲村 うてな 個展「すくう 際をたもつ」
2025.9.4Thu —-- 11.4Tue
11:00-19:00(最終日17:00まで) 土・日・祝は休館
グランビスタギャラリー サッポロ
(札幌グランドホテル(北1西4)内)

PR