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NUMERO DEUX / Shinichi Ishikawa

メディアというメディア



週末は演劇へ行こう〜「その後」は消えるしかない——心が壊される感覚に飲まれる…復讐や仕返しを考えたことが一度もない人は少数だろう。私などは一日に何度も頭をよぎる。 心の自由は法で保障。復讐心を内に秘めておくだけなら、どこまでも自由。たとえ底なし沼のような怒りであっても。動物は怒るようだが復讐を考えるだろうか? 復讐の歴史とは人の歴史ではないか。今の時代、SNSに散らばる「復讐話」には嘘か本当か分からないものも多く、それでも私たちはそれに「スカッ」とする。なぜ、他人の復讐譚にもこうも清涼感を私達は見出すのか? このお芝居は復讐の結果よりも、その心の「やわらかい機械仕掛け」に思いを巡らせる内容だと思う。大事なのは結果よりも、その背後にある構造そのものなのだ。 復讐とは、個人的で、詩的で、社会的でもある内心を超えた「行動」なのだ。——復讐を善悪を超えて考える、そう思わせる魅力が本作には詰まっており、観客は思考を深めていくだろう。 ギリシャ神話と聞いて少し身構えるかもしれないが、本作はとてもわかりやすい演出が光る。物語の「前提説明」が冒頭から自然に盛り込まれており、難解さを感じることはなく芝居の世界に入り込める。 役者は多めだが、セリフのある役者が少ないので、私達は役者の「動き」にも注目したい。体の演技はこの劇団の味わいである。 舞台セットはシンプルでありながら、役者の衣装にはこの劇団ならではの個性が宿る。ギリシャ神話の世界観 とも違和感のないデザインが魅力的だ。 復讐を終えた者は、ただ去るのみ。そこが私が一番本劇で考えさせた。どこへ行くのだろうか?——演劇に行くことは人生を学ぶこと。演劇を見よう。まちに出て、劇場へ行こう。 「メディア」|風蝕異人街|シアターzoo| 11月8日(金) 19:00|11月9日(土) 14:00/19:00 11月10日(日) 14:00 前売 3,500円/当日 4,000円  U-25 前売・当日共 2,000円
#メディア #風蝕異人街
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