若さの正と負と〜健やかへ
- Category:演劇
- Date:2024年11月07日
薄曇りの空の下、会場へ急いだ。自分は30分前に入場したいタイプなのだが予定が長引いてしまった。しかし、幸いにも好きな席に座ることができ、10分ほど落ち着く時間も取れたので、それで十分。前説は音声だけのナレーションでこれが不思議と心地よかった。 客電が落ち、舞台が始まる。冒頭エピソードは2人のこれからの人生を暗示するようで、物語の流れはつかみやすかった。すっと世界に入れた。その後の展開は、繊細な心の動きが何層にも重なり合いながら進んでいく。そこが正直、むき出しのナイーブさで心が痛むが、これは若者が対面しているリアルだとも感じる。内面・SNS・表現活動・危ない勧誘や販売… 誠実に対するこだわり。「細かいことを気にするな」という言葉は、半分は正しいが、半分は間違っているのではないだろうか。半分を犠牲にする代わりに、残りの半分を大事にしなければならない。だからこそ、細かいことを気にすることは、残されたものを守るための行為なのだ。ということが自分の中で考えた。 双子は自分の分身のような存在だと考えると、人は誰もが心の中にいくつかの双子を持っているのではないだろうか。それゆえに迷い、悩み、そして頑張れるのかもしれない。 舞台には派手なセットはなく、人間そのものが主役となり、十分に伝わる演出だった。注目すべきは、人の存在そのもの。そして、象徴的に置かれた空き缶のエナジードリンク。今を生きる若者は本当に大変だ。 いいドラマだった。誰もがもっている心の危うさと全体を通して感じた若さの正と負のエネルギーが、とても印象的だった。これからもお芝居を続けていく彼らがどのように変化していくのか、とても楽しみだ。演劇を見にまちを歩こう。 我等、敵モドキ 第2回本公演 「親愛なるキサマへ、いつまでも健やかに死にタマヘ」 2024年11月3日(日) 14:00 |BLOCH #モドキよ健やかに #TGR