失われた「1次元」を取り戻す
- Category:Art / Culture
- Date:2026年08月11日
失われた「1次元」を取り戻す――フォトコラージュが切り開く、平面を超えた視覚体験 トーチカを知っているだろうか? 戦争時に戦場に配置される小さめの建物で頑丈なコンクリートで作られた簡素な攻撃施設である。ちいさな窓が点在していて、そこから機関銃などで迫りくる敵兵を攻撃する|一見、分厚い壁により無敵な建物に思えるが、死角も多く窓から爆弾や火炎放射器などの攻撃で全滅することも多い。戦争映画で描かれることも多いトーチカは北海道でも太平洋沿岸に設置され、現在でもその痕跡を見ることができる|表現において、事実を忠実に提示しても、伝わらないことがある。写真は一見忠実な表現といえるけど、それはあくまで2次元的なコトであり、3次元への再現性ではない。つまり、写真になった時点で、3次元の情報が抜け落ちている訳である|それは、現実に存在する触れられる立体感、空気感、匂い、光の動き等である。では、写真(というか絵画も同様である)は現物の意味を伝えられないメディアなのだろうか? |そんなことはなく、おおくの優れた写真表現は、私たちに3次元の感触をもたらすことに成功している。その理由は、その場面を捉えること、または再構成する作家性だと思う|クスミエリカの場合、フォトコラージュという方法を通して、写真の2次元の平面性から3次元の接近をおこなう。彼女の場合、立体的なイメージに加えて、時間軸さえ超えるところは、さらに多次元的だといえる。本作でも「トーチカの痕跡」というのは、それをいくら写実的にとらえても、無機物には伝わり方に限界がある。しかし、そこをフォトコラージュという方法によって、空間と時間を再構成することによって、見る側に、さまざまな印象を喚起させることに成功している|そして、同時に美的であることが、アート作品として成立しているだろう。今回は市民とのワークショップも通じて、参加者にアートの可能性も伝えられたのではないだろうか。 500m美術館 vol.55 アーティストと市民によるワークショップ展 2026年7月18日(土)~9月30日(水) 500m.jp/exhibition/815
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